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熊本家庭裁判所 昭和52年(少イ)1号 判決

被告人 伊藤喜美則

中林正男

主文

被告人伊藤喜美則を懲役四月に、被告人中林正男を懲役三月に各処する。

理由

(罪となるべき事実)

第一被告人伊藤喜美則は、昭和五二年四月三日熊本市○○×丁目×××番地所在の被告人方において、中林正男から同人の居室に一五、六歳位の少女が遊びにきている旨を聞くや、同人に対し、その少女を自己の性交の相手方として誘い連れてくるよう申向け、同人をしてその旨決意させ、よつて、右中林をして、同月四日、同市○○町×××番地○○会館二階の同人の居室において、女子中学生A子(当一四年)に対し、その旨勧誘説得させたうえ、同日同市○○○町××番×号パチンコ店「○○○」前路上において、同女を自己に紹介せしめ、同日同市○○町○○×××番地の××所在のモーテル「○○○」において、自己が同児と性交し、もつて、右中林の児童に淫行させる行為を教唆し

第二被告人中林正男は、前記のとおり、伊藤喜美則から少女を同人の性交の相手方として誘い連れてくるよう依頼されるや、B(少年)と共謀のうえ、同月四日、前記○○会館二階の被告人の居室において、前記C子に対し、右伊藤を相手方として性交するよう説得勧誘したうえ、同日、前記「○○○」前路上において、同女を右伊藤に引き合せ、同日、前記モーテル「○○○」において、同児をして右伊藤と性交させ、もつて児童に淫行をさせたものである。

(証拠の標目)(編略)

(素犯前科)

(1)  被告人伊藤喜美則は昭和四六年三月二九日熊本地方裁判所で、暴力行為等処罰に関する法律違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反、傷害、暴行、殺人、監禁罪により懲役五年に処せられ昭和五〇年一二月二九日右刑の執行を受け終り、

(2)  被告人中林正男は昭和四九年一二月二六日同裁判所で、兇器準備集合、銃砲刀剣類所持等取締法違反罪により懲役七月に処せられ右刑の執行を昭和五〇年六月二五日受け終つたもので右の各事実は被告人両名の各前科調書(甲)によつて認められる。

(法令の適用)

被告人伊藤の判示第一の所為は刑法六一条一項、児童福祉法三四条一項六号六〇条一項に、被告人中林の判示第二の所為は刑法六〇条、児童福祉法三四条一項六号、六〇条一項に各該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人伊藤については前記(1)の前科が、被告人中林については前記(2)の前科があるので、それぞれ刑法五六条一項、五七条により再犯の加重をした刑期の範囲内で、被告人伊藤を懲役四月に、被告人中林を懲役三月に処し、被告人中林の訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項但書により同被告人に負担させないこととする。

よつて注文のとおり判決する。

(裁判官 赤塚健)

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